正義のヒーローが
「貴方にしか頼めない事があります……敗北射精……させて下さい……。」
「はい……何?」
惰性で朝の特撮番組を見ていた最中、おずおずとソファーの隣に腰掛けてきたリウムハートの口から、未知の単語が聞こえたような気がした。
はいぼくしゃせいって言ってたような、気がする。
そんな信じられない単語はどう考えても聞き間違いだろうと思ったので、怪人が現れ町で暴れているシーンに目を戻した。テレビの中では人々が逃げ惑っている。
「お願いします!あ、あなたに、心を挫かれたいんです……!」
「……心を挫かれたい……???」
いつの間にか、リウムハートにぎゅっと握られた私の両手からじわじわと血の気が引いていく。真横のキラキラした男は、申し訳なさそうに顔を真っ赤にしてうつむきながら、コクンと頷いた。
テレビの中の人々は、ヒーローに助けを求めている。私も今誰かに力いっぱい助けを求めたい気持ちだった。
でも、助けを求めたい時、肝心のヒーローの様子がおかしい場合は、誰に助けを求めればいいのだろう?当てが無いんだから、お手上げというものじゃなかろうか?
こちらの冷や汗などよそに、番組はCMに入った。変身ベルトの紹介がされている。
白熱の音声が30種類出るらしい。すごいなぁ。
このいたたまれない空気の私たちの間にもCMが入らないかな。入ってくれたらいいのに。
無言でそっと彼の手から抜け出すと、恥ずかしそうな顔のリウムハートから、あっと小さく声が漏れた。
所在なげになったリウムハートの手は、彼の膝の上にすごすごと戻っていった。リウムハートは体を縮こまらせ、手は行儀良く両膝に置かれている。
CMはまだ終わらない。
あはは…と彼の気の抜けた笑い声が聞こえる。
照れくさいのだろうということは伝わる。
何か切り出したそうだな、という雰囲気も伝わってくる。
「あ、あのですね、敗北……」
「聞きたくない!それ以上聞きたくない!」
うわーと耳を塞いでしまった。
ゆるふわ癒し枠だったリウムハートから、これ以上とんでもない言葉を何度も聞いたら正気に戻れと頬を何度もひっぱたきかねない。
求められたのは卑猥な怪人ごっこである。
それがよりによって、あのド聖人ド正義ド優しいの三拍子揃ったマナドゥム・リウムハートその人からのお願いなんて。
マスター泣いちゃうよぉ。
えーんえーん。
「マスターは、私の事が、お嫌いですか……?」
「き、嫌いじゃ無いよ、ただ、そういう事が君相手に出来るかって言われると……難しいかな〜って……」
だってそれって性行為でしょとごにょごにょしながら言い返すと
「お願い、します……。」
「リウムハートは、せ……正義のヒーローなのに……こ、こんなに、よ……よわよわなんだね……。」
「あ……♥️そ、そう、なんです……♥️」
はぁと甘い声色を漏らすリウムハート。
「良くないよこれ……やっぱり止めよう?」
「そんな……!続きを……続きをお願いします……!」
マッハで現実に戻って来てしまった。とんでもないイメージプレイの手伝いをさせられている。どこの世界にこんな事を求める正義のヒーローが居るのか。……あ〜、でもな〜、目の前に居るんだよな〜!私今その人に乗っかっちゃってるんだよな〜!
思わず頭を抱えて唸ってしまう。
そんな私の苦しむ姿を、頬を赤らめながら心配そうに見守るリウムハート。
「ご、ごめんなさい……こんな事をお願いしてしまって……。その、困ります、よね。」
お、もしかすると正気に戻ったのか?と思ったのも束の間
「で、でも、大好きなマスターに、絶対に一度は……その……いじわるに果てさせて頂きたくて……。」
悪化してる。
すりすりと服越しにお互いの恥部をすり合わせる。ビクビクと脈打っている事が伝わる。……あと、ひょっとしてでかくない?
下履きを下ろすと勢いよくぶるん、と出てきたものに息を飲んだ。
よわよわどころか、飛び出したものは優男に似合わず、いきり立ちバキバキと血管の浮いた鬼強そうな風体をしている。
……ヤバ、くない点をあげるなら、色はきれいだ。その辺はグロテスクで無くて良かった。いや、色だけではこの強者にぶら下がってる男根感は覆い隠せない。強者にぶら下がってる男根感てなに?パニくってまともな感想出てこなくなっちゃったじゃん!え?!でっか!なっが!こんな……え?!
これのどこがよわよわ?こんなのつよつよちんちんじゃん!?
そう心の中で暴言を吐き慌てるこっちをよそにリウムハートは外気に晒されたそれを、今からどのように弄って貰えるのか心待ちにしているようだ。
……少し不安そうな顔とは裏腹に、どこか淫らな笑みが溢れているのが分かる。待ちわびている、ような。
覚悟を決めて、つうと人差し指で温いそれを撫でると、リウムハートから熱い吐息が漏れた。
「ん……。」
「な、……なんで、こんなに大きくなっちゃってる訳……?まさか期待してたなんて言わないよね……?」
恐る恐る、上から下へと、太い筋の通った部分に指を這わせて行き来させる。
「あ……あ、き、期待、して、ました……。」
「き、期待してたんだ、へぇ……君が、そんなにいやらしい人なんて、全然思わなかったな……。」
性的な煽りなどでは無く完全に本心からの感想である。ああもうどうしようコレ。本当どうしよう。
「あなたに……私のものを触って頂いて……、」
リウムハートにいじわるしたら興奮して濡らしていたという事になる。
そんなのって、恥ずかしすぎない?
(でも、でも……っ、凄く、なまめかしくて…、私は、すごく、良いと思いますし好きですよ……っ!マスター!興奮して頂いて恐縮です!)
リウムハートがト書きに割り込んできた。やめて、そんな心の声に乱入しないで。
(駄目ですか?)
駄目です…。
「あーっもうやだぁっ♥️勝てないっ♥️こんなの、勝てないよぉっ♥️」
「そ、そんなこと無いっ♥️勝てます♥️あなたならっ♥️私に……っ勝てますからぁっ♥️♥️」
頑張って♥️と下から揺さぶるリウムハートにお尻を揉みしだかれ、長いものはびっちりと中を埋めつくし、よりにもよって一番弱い部分を無自覚にじゅこじゅことえぐり倒している。
「あぁっ♥️そっ、こ、やめて♥️♥️気持ちよくてっおかしくなるっ♥️♥️♥️んっぐ♥️」
「わ、たし、も♥️ここ、当てると、あなたの中が♥️きゅうきゅう…っ締まって♥️♥️ぁ、果てて、しまいそうです♥️」
「正義のヒーローなのにっ守らなきゃいけない女の子妊娠させてっパパになちゃえっ♥️」
「あ、あ、」
「へへ…私の……勝ちぃ……♥️」